読後

感想・謎・その他、例によってネタバレオンパレ。





感想

まず、面白い。続いて、丁寧に作られているという印象。
話は最後に大どんでん返しがあるわけでなく(ある意味ではどんでん返しなんだろうけど)、一つ一つ物語の前にはきっちりと伏線が明記されている。すなわち、伏線とはいえ、表現したとすら言えない「かする程度」のものではなく(最近そういうの多いような…)、その時点ではわからなくてもきっちり書かれている。だから、立ち止まりながら読んでいくと先の展開が読者側でかなりの確率で予測できる。しかし、その立ち止まりをしないように話がテンポよく次々流れていくんで、どんどん読み進められていく。しかも、予め予測できるような無理のない展開なので(所謂超展開ではない)、読んでる側にもしっくりと来て更にテンポがよくなり、初めから終わりまで中弛みせず一気に読める。
これが丁寧に作られているという理由。


もう一つ、個人的によく出来ているなと思ったのは、βとαは断絶していて、話は全てαの中で収束していくわけだけど、最終的にそれら全てがβへの行動規定になっていく。「なかったことにしてはいけない」ということ。そして時間遡行が物語としては順行していく、結果、行動目的にブレがなく、かつ共感できるというところ。


いずれにせよ非常に楽しめました。

私的なマイナス点

あえて書くと、上記のように物語のテンポが非常によいので…、なぜ選択制にした。
これはADVゲームというゲーム上仕方ないんだけどさ、Chap4であの分岐取れるのは結構運だと思うんですよ。正直、あれはノーヒントもいいところだと思う。テンポがいいだけに、スターダストに入ってからまたやり直すと、それまでのテンポのよさがなくな…りは人によるか。Chap9〜ラストは再読でもテンポはよかったです。
まぁ、Chap11行くために水を差された感じがどうしてもするので、Chap4で選択制にしなくてもいいんじゃないかと思うわけです。えぇ、初見でメランコリー獲得できなかったからぐだぐだ書いてるだけです、お察しください。

サウンドノベル(ではないらしいが)で重要なのはやはりBGM。シュタゲのBGMはどれも素晴らしかったです。
「GATE OF STEINER」「Believe me」「Solitude」等じんわり来る曲が多いです。「The Limit」「Crossroads」もBGMとしては秀逸。
そういえばこれ書きながら裏でBGM流していたんですが、スカイクラッドの観測者とA.R.の歌詞は物語と一致している。ということは、アニメOPもそうなのか、今度聞きなおしてみよう。


あと音といえば途中にも書きましたが、中盤〜後半のオカリンの声優の演技が個人的にはつぼです。

私的

私的名場面はChap10or11…、といいたいけどChap6。UDXの前、初めて名前を呼んで「助けてくれ」のシーン。作品紹介では孤独なといっているけどオカリンはラボ面に特に紅莉栖に助けられ、それでα世界線を超えてきている。だから最後のβ世界線での行動に納得がいくわけで、その最初のシーンとなるこの場面はやはり一番のターニングポイント(リープを行うより)だと個人的には思います。
私的にはオカリンは厨二設定で狼少年化して孤独になる予想をしてただけに、救われた感じがしてよかったです。(紅莉栖に釘刺されてるけど)
この二人の組み合わせはいい。


別の意味で印象的だったのはChap10でオカリンが鳳凰院凶真は設定だった、気づかなかったろと独白するシーン。あんた、まゆり以外を本当に騙せてると思ってたのか…、ある意味すごいよ、オカリン。


台詞では…「なかったことにしてはいけない」ですかね。これまでの行動規定として「なかったこと」にして全部背負い込んできたオカリンに対し、それを否定し、納得できなくても耐えてきた事実を「自分が」肯定する。α世界線での記憶の継承や狼少年化しないことも含めて、作品中に優しさのような空気を感じます。(EDのラウンダーに対する態度とか?)

さて、EDにいきプロローグの謎はほぼわかりましたが、過程にあった謎が個人的にはいくつか解けておりません。
これは、選択(リープするタイミング等)で判明するのか、どうなのか。

作中ではSERNのデータベースからメールデータを削除することでα世界線から脱出しましたが、そういう因果関係なんだっけ?
最初のDメールを送ったことでSERNに監視され…、だったからあの時点でメール削除してもラウンダーから監視対象になってるんじゃ?まぁ、まゆりの死はSERNと関係なく起きているから、SERNからタイムマシン開発に必要な3人と見なされなければ鈴羽の来る世界線にはならないのか?それがあのメールデータの存在(β世界での紅莉栖の生死)ということなんでしょうか。どうも消すタイミングが世界に影響を与えている部分との因果関係がいまいちわからないです。
これがメールデータから過去に指示が出ているとかならわかるんだけど、ラウンダーが動いてるのってリアルタイム。SERNと世界の収束は別物(まゆりの死は現に別)と考えればいいのか?

  • リープした人(その前後)

世界線変わったので最後まで出てこなかったけど、リープした謎の人物は誰なんだろう。
そして痕跡がないことからリープした場合、その人物と痕跡がその世界線から消えるということ?、そうでなければリープ(記憶だけとばした)した相手をオカリンが見つけてないとおかしくなる。でもあの後消えてた人物って居たっけ、まゆりは死んでるし紅莉栖は電話をかけてる、ダル…?
オカリンの主観では世界線は変わってないけどリープした人物からすればどういう扱いなんだろう。読み手はオカリン主観でしか見えないけど、全員自分の観測眼を持っていることになるわけではない(世界線変動率はオカリンが観測している)、あのリープした直後の描写は謎なんです、そして誰だ。

  • 脅迫メール

そういえば脅迫メール送ってきてたの誰だ、未来のオカリンのような気もしてたんだけど違ったっぽい。
それらしいシーンも一切なかったような。

リープの前提となっていた回線。改変かと思いきやα世界線では普通に存在します。
考えられるのは鈴か天王寺天王寺だとラウンダー関連で話はつながる気がするけど、自分から使い捨てといっているラウンダーのために専用の直通光回線引くか?普通。そもそも何のために使うつもりなのかもさっぱりわかりません。
鈴だとリープに使うことを知っていて引いたという可能性もあるけど(SERNに気づかれず?)、そのためにはリープの存在を知らないとおかしい。でもってリープの存在を知っている鈴は失敗するほうだから、成功する鈴はリープの存在を知らない。それでも直通の光を引いたのか、SERNの動きを監視するためとかで…?それなら一応は納得でき…るのか?
話の根幹に関わってくるところだけに気になります。



もう一度いろいろと試しながら読み直そう。